(35連休)15日目:IoTの世界にこれからどう関われるのか:「ソフトからハードへ」で目指していること
これまで私は、いわゆる「ハードウェア」に関わるような経験はありませんでした。社会人になって以来、これまでずっと肩書きとしてはコンサルタントであり、サプライチェーンという領域からスタートしたために、組織設計(組織間連携)・業務設計が肝でありつつも、OR(Operations Research)をベースにした数理モデルを活用したコンサルテーションを得意領域としていました。そんななかでビッグデータブームみたいなのが気がついたら始まっていて、「作って語れるコンサルタント」ということを武器に、SCM以外の領域についても様々な案件に関わることができたわけです。
「では、これから何をしようとしているのか」については大きく2つあり、それは並列というよりは段階的に進んでいくことになるのではないかと想像しています。
これまではなにをしてきたのか(=ビジネス・アナリティクスという領域)
これまでやってきたことを簡単にいうと、「データを活用して既存業務のPDCAサイクルを確立する」ということです。サプライチェーンでもMD(マーチャンダイジング)でもマーケティングでも、B2Bのリアルビジネスにおいてデータを活用することで劇的に利益が向上するようなことはほとんど期待できません。どんなに高度な予測モデルを使って需要予測精度をあげたとしても、その効果はそこまで大きくはありません。効果があるのは、データに基づいた予測を、その限界とともに理解したうえで、例えば適正な在庫量や適正な販売計画が立案できて、その立案プロセスを既存業務のPDCAサイクルに埋め込むことで、組織のメンバーが同じイメージをもつことです。これは定量的にいえないところが常にもどかしいところでもありますが、いわゆるビジネスの"構造"について、クライアントのなかで現場レベルまでが同じ認識をもつことの効果は極めて大きいです。この辺のデータ活用の効果発現のメカニズムから、こういった領域ではデータ・ビジュアライゼーションが非常に有効だったりします。その結果として、d3.jsというjavascriptのライブラリやRのggplot2,GoogleVisなどに精通するようになりました。
※データ・ビジュアライゼーションのイメージがわかないかたはこれがおすすめ。
そんななかで、「ハード」を意識するようになったのは「M2M(Machine to Machine)」という領域に関わるようになってからです。M2Mといっても結構領域に幅があるのですが、ビッグデータ時代のM2M最新動向 | IT Leadersなんかがイメージつきやすいかと思います。
これまでSCMなんかの領域では、相手にするデータというのは基本的には受注明細、出荷明細、在庫実績・・みたいないわゆる基幹システムがもっているようなトランザクションデータと、人口動態のようなマクロデータの組み合わせであり、「業務」を相手に「データ活用」を推進してきました。
一方で、M2Mという領域では、データを取得しているのはマシンに取り付けられたセンサーであり、そのセンサーが取得しているデータを分析するときの分析手法はマーケティングにおける分析なんかと大きく変わるものではないですが、データ活用の効果発現メカニズムが少し違うように感じています。国内の製造業だと、小松製作所のKOMTRAXなんかが非常に有名です。2014年4月に開催されたビッグデータ・カンファレンスでも小松製作所の役員の方が直々に講演されていました。
最近TEDでGEの偉い方がIndustrial Internetについて話していたので、これが一番わかりやすい動画かな。
新規事業につながるマシンデータ活用
自分が仕事で関わったものについては当然一切記載できないのですが、M2Mという領域に面白さを感じているのは、「既存業務の改善」ではなく、データを中心とした「新規事業」が立ち上げられる可能性が大きいからです。マシンデータを新規事業に仕立てるには、大きく2つの道にわかれると思います。
1つは、B2Cの世界で「つながり」を価値とするようなモデルで、下記の本に記載されているような世界です。fitbitなんかが有名な例で、私も購入してみましたが、もともと腕時計をする習慣もなかったため、煩わしくなってやめてしまいました。
ソーシャルマシン M2MからIoTへ つながりが生む新ビジネス (角川EPUB選書)
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ハードウェア自体の設計まで含めたIoT
そしてやりたいこともうひとつは、データを取得するハードウェア自体の設計にも踏み込みたい、ということです。
これはMITメディアラボ所長の伊藤穰一さんのTEDでの講演です。
前半の、「MBAホルダーが計画立案→資金調達→実装」という流れから、インターネットが生まれてからはfacebookのように「実装してしまって市場の反応をみてからMBAホルダーを雇って事業計画をつくる」というようになった、というような話はまさに上でしたようなことですが、これはソフトウェアの世界ではかなり前から当たり前になってきた流れであり、それがハードウェアの世界にも起きている、ということが後半で語られているところで、面白いところです。それを可能にしたのは3Dプリンタのような技術です。
正直、この領域については私はこれまで非常に鈍感で、いまだにキャッチアップできていません。有休消化にはいってからRaspberry Piを触りだしたのはこういった経緯からです。
そして、実装に関する技術的なことを調べる一方で、Fablabという大きな動きがあることも最近知りました。そのきっかけとなったのは下記の書籍です。
FabLife ―デジタルファブリケーションから生まれる「つくりかたの未来」 (Make: Japan Books)
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私の認識は完全に出遅れましたが、これは国内の大手製造業にとっても大きな変化であり、コンサルを続ける以上はキャッチアップしていくことが必須だと感じ(キャッチアップすべき、というより、面白そうというほうが大きいですが)、Fabricationに関してほんとに初心者ではありますが、目下の活動としては、下記のようなことをしています。
かなり出遅れているのは認識しているので、これからIoT(といっていいのかわからないけど)の世界にどう関わっていけるのか、産業構造のマクロ視点ももちつつ考えていきたいと思います。